「試料切断機」と検索した際に表示される「精密切断機」についてまとめています。
試料切断機で検索すると精密切断機に関する情報が出てくることがあります。試料切断機と精密切断機は厳密に区別されているわけではなく同義語として扱われることも少なくありませんが、改めてその違いについて説明します。
そもそも試料とは、試験や検査、分析などのための材料や見本のことを意味するものです。したがって、試料切断機とは、顕微鏡による組織観察や各種評価試験、硬度測定などのための試験片を作成する際に、適当なサイズに切り出す前処理として用いる切断機を指します。
精密切断機は試料切断機と同様に扱われることも多く、その定義は切断方法やメーカーによっても異なります。試料切断機も試験片の切断面組織に影響を及ぼさないように切断するものですが、精密切断機は、さらに以下のような条件が備わったものを指す場合が多いようです。
精密切断機を精密な金属の切り出しができる装置と定義することもあります。ダイヤモンドなどの硬度の高い砥石を使用することにより、バリやカエリ、ホコリのない試験片を作成することが可能です。また、より精密な切断をするためにCCDカメラやマイクロスコープなどを搭載した機種もあります。
精密切断機は、試料と砥石の動きによって上下動切断、スライド切断、振動切断、スキップ切断の4種類の制御方法があることが大きな特徴です。乾式タイプでは上下動切断とスキップ切断が主流であり、湿式タイプでは全ての制御方法が用いられます。
手動式の精密切断機は手動ハンドルを装備していて、ハンドル操作によって切断送りすることができます。片持ちバイス方式で、卓上で使用することも可能。コンパクトであまり場所を選ばず、手軽に使用できるというメリットがあります。
半自動式は、手動式と自動式の両方を兼ね備えた精密切断機です。手動式切断機の速さと自動砥粒切断機の利便性、どちらのメリットも感じることができるでしょう。
手動切断用のレバーには電子制御可能なブレーキが付いていて、レバーを片手で上下に動かすことで切断できます。コンパクトで柔軟性も高いため、さまざまなサンプルを切断できます。
全自動式は、その名の通り切断工程を全自動で完結させる精密切断機です。手動や半自動では必ず人の手が必要ですが、全自動式は切断工程の省人化を可能とします。ひとつのラインに必要な人員を減らすことで作業効率があがり、生産性の向上につながるでしょう。人員をほかの作業に回すことができるというメリットも。
一定の品質を維持したものを作ることができるため、品質の向上や安定性にも寄与します。また、手動では難しい高精度な切断面を実現。切断順序の最適化することで、材料の廃棄を最小限にすることもできます。環境面にも優しい作業が可能です。
精密切断用の砥石にはダイヤモンドやBNホイールなどを使用されているため、普通の金属材料だけでなく焼入鋼や超硬合金、セラミックスなどの難削材料を切断することができます。また、精密切断機を使用することにより、切りくずが極めて小さく切断面の粗さを最小限に抑えることが可能です。これにより、チッピングやクラックを防ぎ、寸法精度や研削能率に優れた切断を行うことができます。
精密切断機や試料切断機といっても卓上・小型・大型などのサイズやスペック、コストなどさまざまです。そのため何も考えずに選定をすれば、非常に苦労するでしょう。ここでは導入する際に押さえておくべきポイントについて紹介します。
精密切断機・試料切断機を導入すれば、かならず機器を設置するスペースが必要になります。
もし設置するスペースが狭いにもかかわらず大型のサイズの機器を導入してしまえば、設置するスペースからはみ出してしまうことも。
そのため、まずは設置場所の確認が重要です。設置する場所の寸法だけでなく、耐荷重や電源の位置などを確認しましょう。とくに電源は100Vでも問題ないケースもありますが、機器によっては200Vの電源を用いるケースもあるので注意が必要です。
そのため導入した後に電源がない、耐荷重が足りないなどの状況がないよう機器が設置できる環境に整えておきましょう。
精密切断機・試料切断機を導入する目的は企業によって異なるでしょう。機器によって切断できるサイズや材質が異なるため、自社の目的・用途に合わない機器を導入すれば後悔することも。
そのため自社に適した精密切断機・試料切断機を選定するためにも、目的や用途をしっかりと洗い出すことが大切です。そのうえで、どのような機器を導入するのか検討すると良いでしょう。
もちろん性能が高ければ高いほど良いと思うかもしれません。
しかし性能が高い精密切断機や試料切断機は、一般的に費用が高くなるので注意が必要です。どんな企業であっても機器を新しく導入するうえで予算が設定されており、その予算から大幅にオーバーする機器を導入するのは難しいでしょう。
また高額な機器を導入したとしても、それに見合った効果が得られなければ導入する意味が半減してしまいます。しっかりとコストと性能のバランスを見極めたうえで、導入する機器を選定しなければなりません。
予算も踏まえて、どんな機器が自社に合っているのか検討してください。
精密切断機や試料切断機を導入する際、つい機器のスペック・費用ばかり着目しがちです。
しかし、どんな機器であれトラブルが発生する恐れがあり、その際の対応力も非常に重要になってくるでしょう。対応が悪い・納期に時間を要する・修理に高額な費用がかかるなどもあり、そうなれば機器を使用できない期間が長くなってしまい、業務に支障をきたしかねません。
そのためメンテナンス時の対応などアフターサービスについても事前に確認してください。修理費用・休日対応・修理体制・納期など各社のサービスをチェックしておけば、何かあったときも安心でしょう。