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引き起こされるトラブル

試料切断機のメンテナンス不足によって
引き起こされるトラブル

試料切断機は、メンテナンスが不十分だとさびや腐食などのトラブルが起こり、高額な修理費用が発生することがあります。ここでは、メンテナンス不足によって生じるトラブルの内容や、トラブルが生じてしまう原因について解説します。

試料切断機のメンテナンスをしないとどうなる

メンテナンス不足によって起こる直接的なトラブル

困っている人

試料を切断する際に生じる切削屑が、スライド軸や回転軸など可動部に入り込んでしまうことで故障する恐れがあります。

また、可動部からさらに先にあるベアリング等の部品に入り込んでしまえば、機械に高い負荷がかかるリスクがあります。

メンテナンス不足によって起こる間接的なトラブル

メンテナンスが不十分だと、徐々にさびや腐食が起こります。これにより部品が故障してしまうのが、間接的なトラブルです。

さびや腐食も切削屑が原因となって起こるものですので、普段から切削屑をきれいに取り除くことが大切です。

試料切断機のトラブルの原因

金属イオン

金属の表面が液体や湿度によって金属イオンとなって溶け出すと、他のイオンと結合してさびや腐食を引き起こします。腐食が起これば金属を侵食し、表面がざらざらになる、穴が開いてしまうといった恐れがあります。

異種金属接触腐食

異なる種類の金属が接触することにより、さびや腐食が進んでしまうのが「異種金属接触腐食」です。異種金属接触腐食は腐食の速度が速く、装置の寿命を縮める要因となってしまいます。そのため異種金属接触腐食が発生した場合は、迅速な対応が必要です。

中でも、多くの機械部品にしようされているアルミニウムは腐食が進みやすいため注意しましょう。

バクテリア

空気中に含まれるバクテリアは、水溶性切削油で造られたクーラント(冷却水)により増殖しやすくなっています。バクテリアの繁殖が進むと、衛生的な問題や硫化水素の増加、切削油の効果を低下させる油膜の形状が崩れるといった現象を引き起こしてしまいます。

健康被害を招く

バクテリアが増殖して目に見えるほどにまでなると、タンク内に白い塊となって浮いてきます。バクテリアの大量発生に気づかないまま使用し続けていると、オペレーターに健康被害の問題が出るおそれがあります。

塊になったバクテリアは、ポンプで吸引された際に細かくなるため、切断室で確認することはできません。被害を防ぐためにも、こまめにタンク内を確認することが大切です。

硫化水素が増加して金属が錆びやすくなる

有機硫黄化合物がバクテリアによって分解するとき、硫化水素が発生します。大量にバクテリアが発生すると硫化水素が多くなり、金属の錆びや腐食が進みます。硫化水素が大量に発生している兆候は匂いや見た目で分かります。卵が腐ったときのような腐卵臭や硫化水素の黒色によるクーラントが黒っぽくなっていたら、硫化水素が増加している可能性が高いでしょう。

油膜形成が出来ず切削油の効果が薄れる

Ph値が正常でも錆などが多く発生する場合は、クーラントが腐敗している可能性が考えられます。クーラントの腐敗が進むと、本来形成されるはずの油膜が形成されません。切削油の効果が薄れてしまうため注意が必要です。

試料切断機をメンテナンスするポイント

タンクの清掃

まずは切断室の日常的な清掃をきちんと行い、切削屑が溜らないようにしましょう。切断したら、切削屑をすぐに取るまでを一連の作業にしておくと、忘れずに清掃することができます。

切断後は、切断室内や側面の壁、天井など、飛び散った切削屑を取り除きましょう。細かい切削屑は、ウエスや雑巾でしっかりと拭き取ります。

次に、タンクのフィルタ清掃を行います。タンクのフィルタには多くの切削屑が溜まるので、1日の作業終わりにはフィルタを取り外して掃除しましょう。タンクは清掃してもフィルタ清掃までは行わない場合が多くみられます。面倒でもフィルタまでしっかり掃除すると、クーラントを安定させる効果が高まります。

クーラントの管理

クーラントが良質だと油膜を形成して切削屑を包み込んでくれるため、金属イオンの流れ出しを防いで陰イオンとの結合を抑制します。しっかりと油膜をつくるためにはクーラントの濃度管理とph管理が重要です。

濃度管理

クーラントは切断時に揮発するため、タンク内から徐々に減っていきます。クーラントが減った分、水を入れただけでは濃度が下がって上手く油膜を形成できませんし、切削油を入れただけでも均一に混ざらず油膜形成は不十分です。

クーラントを継ぎ足す際は、水に切削油を入れて、タンク内でしっかりと撹拌しましょう。クーラントの濃度を測るために、屈折計を使用して切削油が濃度の範囲内かを確認します。

pH管理

切削油のpH値は8.5~11、アルミニウムや胴など金属用の場合はph7~8.5が一般的です。Ph測定器やリトマス試験紙を使って、ph値が切削油の指定範囲内になるように調整しましょう。Ph値が低ければ、切削油を追加してph値を上げます。

まとめ

普段から切削屑を取り除くなどメンテナンスをすることが重要です。また、アフターフォローやメンテナンスサービスを行っている業者に相談することもできますので、検討してみましょう。

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